2013/09/04

1日にして消えた村オラドゥール・シュル・グラヌ ORADOUR SUR GLANE

アテンドの仕事をしていた時に、お客様から「オラドゥール・シュル・グラヌへ行ってみたいのですが、アテンドは可能でしょうか」とお問い合わせがあった事がありました。

オラドゥール・シュル・グラヌ?
はて、この村か町はいったい南仏なのかパリ近郊なのか?
全く当てのない私はすぐにインターネットで探しました。
結局マルセイユからはかなり遠い場所だと分かり、アテンドは実現できなかったのですが。

調べているうちに、私もいつか行ってみたい場所となりました。
この村は、私がよく行っていたようなフランスで最も美しい村でもなく、田舎のかわいい村でもなく、悲しい歴史のあるところだという事が分かりました。

第二次世界大戦の1944年6月14日にリムーザン地方の小さな村は、ドイツ軍により村ごと焼かれ、村民はほぼ全員197人もの人が殺害されたという村だったのです。(詳しくは他の方のブログやWikiなどを検索で確認してみてください。実際に訪れた方の写真を拝見するとかなりの迫力です。)

この「誰もいなくなった村」はドゴール将軍の命令でそのままの形で残され、再建はされず今でも廃墟と化しています。
村中が博物館のよう。
Wikiより


そして、今日は69年ぶりに初めてフランスの大統領とドイツの大統領が慰霊に訪れた記念すべき日となりました。

今までオラドゥール・シュル・グラヌと聞くたびに、気にしながら耳を傾けてはいましたが、今日は初めてこんなに村の背景や村の人々(現在はこの廃墟から離れた場所に村人の住む村があるらしいです)、そして貴重な生存者の方たちもテレビで拝見する事ができました。
生存者の方のお一人は家族と共に教会に送り込まれ、閉じ込められ、焼かれる直前に脱出したのだそうです。よく逃げられたなとも思うし、一緒にいただろうお母さんや兄弟を置いていったのは大変悲しい事だっただろうと思います。
そして良くぞ生き残ってくれた。
もう一方は現在94歳、やはりご家族の方をなくしておられました。
そして今回ドイツの大統領がオラドゥールの村まで来た事に対し、「Bravo, Merci et Enfin」とインタビューに言葉も短かに答えていました。
ブラボー良くやった、ありがとう、そしてやっと・・・。
「やっと」の言葉が重く響きました。
69年にして初めてのドイツ大統領の訪問。

しかもドイツ事情を良く知らない私は、なぜアンゲラ・メルケルではなくこのムッシュが変わりに来ているんだろうか?
などとのんきな事を思っているのでした。
が、しかしこの方こそ重要な人物。
ヨアヒム・ガウク氏、現在73歳ナチスドイツ時代に生まれ、戦後そして東西ドイツの統合など波乱万丈な歴史に関ってきた大統領です。
ちなみにアンゲラ・メルケルは首相なのですね。
無知な私には勉強になりました。

フランスの大統領はフランソワ・オーランド氏。
この二人の大統領が村長さん、そして生存者の方と一緒に手を繋ぎ、抱き合っている姿が大変印象的でした。
廃墟と亡くなった方のお墓がある墓地、と言っても亡くなった方のほとんどは焼かれて灰となっていて、灰は全部一緒にされ、記念塔の下に埋められているんだそうです。
その記念塔での慰霊。
そして村人の集まる別の場所で、二人の大統領のスピーチがありました。
ほとんど初めてみるドイツの大統領はフランス人もこれなら感心するでしょうくらいの長いスピーチをしてくれ、心のこもったお話になりました。

なぜこの村が襲われたのか?

私もお客さんからこの村の事を聞いた時は、ユダヤ人が殺害されたのかな?などと思っていました。
ですが、実際ドイツ軍がしたかった事は、当時のナチスドイツに反対するフランス人レジスタンスの人達への戒めで、レジスタンスの居る村を攻撃するのが目的だったんですね。
レジスタンスの人達がいたいくつかの村が襲われ、オラドゥールは小さい村だったので、ほとんどの村民が亡くなってしまったという訳です。

そして悲しい事に、当時の「ドイツ軍」には現在のフランス人もいたという事。
どういう事かといえば、その当時アルザス地方はドイツに占領されていた為、アルザスの人々はドイツ軍としてフランスを攻撃しなければならない立場にあったのです。
フランス人を殺さなければならなかったフランス人、戦争の歴史は本当に悲しいものです。
ストラスブールの町のインタビューでは、地元の人達はこの話題はタブーなんだと話していました。
確かに今頃80代後半~生きていれば90台のご老人を責めてもしょうがない。
ただタブーだから話さない、のではなく忘れない為に孫達にも話はして欲しいかなとは思いますが・・・。


フランスに住んでいる私が、お客さんから教えてもらったフランスの村。
頭のどこかにいつも残っていて、いつかは訪れたいところ。
村だけではなく記念碑のある墓地も。



今日は気分が重くなってしまったので、今晩は和食にでもするかな。
悲しい事があってもお腹は空くのですね。